親の施設入所を検討するとき、パンフレットやホームページの情報だけで判断するのはなかなか難しいですよね。
私たちも、いくつかの高齢者施設を見学しましたが、実際に足を運んでみて初めてわかることがたくさんありました。
また遠距離だからこそ譲れない部分もありました。
今回は、その中で「候補から外した施設」について振り返っています。
選ばなかったからこそ見えた、施設選びで後悔しないための視点を、遠距離介護の立場から書いています。
なぜ見学が必要?書類やネットではわからない“空気感”
高齢者施設選びでは、間取りや設備、費用などの情報を事前にチェックしますよね。
でも、実際に見学して初めて、「ここはちょっと違うかも…」と直感することがあるんです。
私たちも、いくつかの施設を訪れましたが、その中の一つは、資料ではとても魅力的に見えました。
- 新しくて設備が整っている
- 費用も予算内
- 対応してくれた職員さんも丁寧
一見、良い条件がそろっていました。
ですが、見学を終えて「ここは違う」と感じた理由は、数字や言葉には表れない空気感でした。
「候補から外した施設」で感じた違和感とは?
候補から外した理由①:面会ルールや家族対応が限定的だった
施設の方針で、面会は事前予約制・短時間・決まった場所のみ、というルールが設けられていました。
もちろん、感染症対策など事情は理解できますが、遠方から来る家族にとって柔軟な対応がないのは不安要素でした。
私たちは年に数回しか帰省できません。
その数少ないタイミングで、思うように会えないのは辛いことです。
遠距離介護の場合、「家族が訪ねやすい・歓迎される雰囲気」があるかどうかも大切なポイントです。
また、いざという時の緊急対応や連絡体制を確認して把握しておくことも大事です。
候補から外した理由②:生活感がなさすぎた
施設全体がとても静かで、きれいに整っていたのは事実です。
でも、入居者さんの姿がほとんど見えず、人の気配が感じられないことに違和感を覚えました。
職員の方にたずねると、「皆さんお部屋で過ごされています」とのこと。
もちろん、それぞれの過ごし方があって当然ですが、共同スペースに人が集まる雰囲気がないのは気になりました。
親がここで孤立してしまわないか?
遠くに住む私たちは、毎日様子を見に行くことはできません。
だからこそ、施設内に「つながり」や「生活の温かさ」を感じられることは重要な判断基準になりました。
- 建物は新しいのに、なぜか落ち着かない
- 清潔感はあるが病院っぽい雰囲気
- 入居者が誰も共有スペースにいない
候補から外した理由③:スタッフの言葉に違和感
丁寧に説明してくださった職員さんの中で、少し気になる場面がありました。
ある質問をしたとき、
「まあ、高齢の方ですし、できないことは増えていくものですよ」
という言葉が返ってきました。
たしかに事実ではありますが、その言い方にどこか突き放すような冷たさを感じてしまったんです。
これが一度きりの印象かもしれませんが、実際に接するスタッフの“言葉の温度”は、親が毎日過ごす環境に直結します。
- スタッフや入居者の様子
- 挨拶しても反応がない
- 高齢者が「ただ座っているだけ」に見えた
- 家族の立場から見て「ここに任せたい」と思えなかった
候補から外した理由④:サービス内容と費用のバランス
これは、パンフレットやホームページなどでもわかる部分は多いですが、細かいところなどは見学時に確認しました。
月額料金は安くても、日々の細かな費用は別途必要になってきます。
ただそのような詳細をきちんと説明してくれるところとそうでないところがありました。
後者の場合はちょっと不信感が残りましたね。
親が何年もそこで過ごすことになるのですから、月額費用以外の費用面もきちんと把握しておくことはとても大事です。
- 月額費用は安いが、食事・介護サービスは別料金
- 実際にかかる費用が見えにくい構成
- 担当者が詳しい説明を避ける傾向あり
候補から外した理由⑤:交通アクセスがよくない
これをあげるのは身勝手と思われるかもしれませんが、親の入所後をシミュレーションしてみて、私たち姉妹や親戚が行きやすい場所を優先しました。
どんなに良さそう~と思っても、すでに遠距離で行きにくい上に更にとなるとそれはそれで大変です。
最終的に決めた施設は、新幹線の駅から車で5分、歩いても15分くらいのところでした。
遠距離介護だからこそ入所後をシミュレーションする事が大事
選ばなかった施設に欠点があった、というわけではありません。
むしろ、設備や立地、費用の面ではとても優れた施設だったと思います。
でも、親が「ここで暮らす」と考えたとき、自分たち家族が「ここに任せて大丈夫」と思えるか。
遠距離介護では、そこが何よりも重要だと実感しました。
- 緊急時の連絡体制が不安だった
- 夜間・休日の対応説明があいまい
- 家族への連絡方法が不透明
施設見学でチェックすべき3つのポイント
- 入居者の雰囲気や表情を観察
共用スペースに人がいるか、どんな過ごし方をしているか。 - スタッフの言葉や対応を聞き逃さない
説明の中に、自然な思いやりや親しみが感じられるか。 - 家族への対応・面会のしやすさも確認
遠方の家族が訪ねたときの対応を具体的に聞いておく。
選ばなかった理由も、後悔しない選択につながる
この記事では、「候補から外した施設」について正直に書きましたが、それはその施設が悪いということではありません。
むしろ、見学したからこそ、「自分たちの希望」とのズレに気づけたのだと思います。
施設選びに正解はありません。
でも、見学で得たリアルな気づきこそが、後悔しない選択につながると信じています。
遠距離介護をされている方や、これから施設探しを始める方の参考になれば嬉しいです。




