「実家の片づけ、そろそろしなきゃ」と思っても、なかなか親が首を縦に振らない…。
我が家もまさにそうでした。
結局、一気に片づけをしたのは“ある出来事”がきっかけでした。
今回はその体験談をもとに、親の家を片づけるタイミングや進め方について考えてみました。
親が片づけに乗り気にならなかった日々
実家の片づけを意識し始めたのは、母の物忘れが増えた頃。
冷蔵庫の中に古い食品が残っていたり、同じものを何度も買ってきたり。
母の部屋は、帰るたびに散らかり方がひどくなり、床が見えなくなっていき、あきらかに認知症の症状が進んだ状態でした。
「一緒に整理しようか?」と声をかけても、母は「まだ使うから」「捨てなくていい」の一点張り。
結局、数年は“片づけたい子ども”と“片づけたくない親”のにらみ合いが続きました。
父はというと、認知症の母をささえていました。
トイレットペーパーやティッシュなどの買い物の大物担当のようで、多めの日用品をストックしていました。。
さらに、年齢のせいなのか、それとも徐々に母が料理をしなくなったからか、急に痩せてしまい、慌ててお昼だけでもと宅配弁当を依頼したりしました。
実家の片づけを急がなくてはいけなかった理由
実家の片づけは、親の同意がないとなかなかすすみません。
でも極端な話、両親が気にならないのであれば、安全安心が確保できて暮らせているならまぁ仕方ないか、、と思っていました。
ところが、そんなこんなで数年たった頃に妹が帰省した際、どうやらねずみ(?!)がいるらしい、、柱にかじったあとがある、、とLINE。。
以前に洪水で床下浸水したりしたことも原因かしら、、、とか考えている場合じゃない!
実家の片づけを急がなくては!と、妹との連携を更に深めました。
妹との話し合って決めたこと
前述のとおり、実家の片づけは、親の同意がないとなかなか先に進まない硬直状態が数年続いていました。
が、ねずみ出没(汗)の一件で、事態は深刻化。
ねずみの駆除を考えつつ、両親の健康状態も含め総合的に考え、このままここで二人で生活していくことは難しい。ということになり、、
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施設入所=サ高住への入所をすすめようということになりました。
サ高住なら、食事も心配ないし、安否確認もしてくれる。。
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両親が施設へ入所後、実家の片づけを始めようときめ、両親への説得を開始しました。
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施設選び開始。
きっかけは父の入院
ようやく、両親がサ高住への入所を決めた矢先、父が骨折を伴う怪我で緊急入院。
認知症の母が一人で暮らすのは現実的に難しく、ショートステイ~病院~施設入所。
実家が空くのが急に早まったのでした。
妹と交代で、時には時間を合わせて、病院や転院の付き添い、実家の片づけ、実家売却準備、などなど集中的に行いました。
特に実家の片づけは急務だったので、妹の夫(義弟)も協力してくれて、3日間かけて一気に実家を片づけることに。
実家片づけの手順(遠距離住みの人向け)
事前準備
- 不用品回収業者選定、依頼(3社に見積もり依頼)
- 生もの廃棄
- 定期購入ストップ(牛乳、弁当、新聞、生協など)
*①③=自宅から連絡して依頼
*②=父が緊急入院後早めに
不用品回収業者収集当日(3日間)
- 業者が来る前に、貴重品の探索(通帳、印鑑、クレカ、証書類、現金など)
→認知症の母の部屋は足の踏み場もないほどの散らかりようだったため、貴重品を探すのは至難の業。
→義弟とともに、すべての荷物を右から左へ、左から右へ、探索しながら2往復しました汗 - 大物(冷蔵庫、ソファなど、布団)→業者運び出し
→タンスや仏壇など木製のものは、解体の際に一緒に解体できるということでそのままでした - 使えるもの(日用品、保存食品など)は持ち帰り又は親戚へ
→母の着物や帯などは、日舞をしている叔母に後日引取に来てもらいました
後日
- インフラ(電気、ガス、水道、電話、NHKなど)ストップ
- 不動産売却手続き
文字通り、片づけは体力勝負でしたが、妹や義弟と手分けして進めたので助かりました。
これを全てひとりですることを考えると、、なかなかハードモードです。。

実感したこと:「親の気持ちが変わらないと片づかない」
3日間で一気に実家の片づけを終えたとき、まず感じたのは「とにかく体力勝負」という現実でした。
特に認知症の母の部屋は荷物が多く、その散乱している中から通帳や印鑑など貴重品を探す作業が丸1日以上。
遠距離ゆえに滞在時間が限られていることもあり、段取りの良し悪しがそのまま成果につながるのだと実感しました。
もう一つ大きかったのは、親の同意がないと片づけは前に進まないという当たり前のこと。
こちらの善意だけでは動かせない現実がある一方で、父の入院や母の施設入所という「きっかけ」が訪れた瞬間、物事が一気に動き出しました。
理想は生前に少しずつ…でも、家庭ごとに“動くタイミング”は違うのだと思います。
また、業者さんの力は想像以上に大きかったです。
大物の運び出しや解体はプロに任せることで、私たちは貴重品の探索や判断が必要なものに集中できました。
結果として、短期間でも「ここまでできた」という手応えと、家の安全に対する安心感が得られました。
最後に、思い出の品に出会うたびに胸がぎゅっとする自分がいました。
けれど、今いちばん大切なのは親の安全と暮らしの再スタートを整えること。
その優先順位を共有できていたからこそ、迷いながらも前に進めたのだと思います。
- 「親がその気にならないと進まない」 →だから焦っても仕方ない
- 「きっかけが来たら一気に動く覚悟」 が大切
- 「業者に頼る」ことで精神的にも体力的にも救われる
- 遠方に住んでいても「兄弟姉妹・配偶者との協力」でなんとかなる
- 完璧を目指さず「とにかく動いて片づけきる」ことが大事
我が家の学び
トリガー(合図)を決めておく
「この状態になったら動く」という判断基準を家族で共有しておくと、迷いが減ります。
- 入院
- 施設入所
- 空きや期間の発生
役割分担をはっきりさせる
家族間で担当を決めておくと混乱が少ない。
- 見積もり連絡
- 現地での仕分け
- インフラ停止
- 書類管理 など
遠距離でも、LINEや共有メモで“誰が何をいつまでに”が見えると強いです。
事前準備で9割決まる
- 不用品回収(産廃)業者は複数見積もり。
- 収集日やトラック手配の時間帯を先に押さえ、当日は「貴重品の探索→大物搬出→残りの仕分け」の順に。
- 冷蔵庫など生もの系は前倒しで処分。
“保留”の箱を正式に作る
- 迷う物は保留箱へ。
- 判断を急がない仕組みが、喧嘩を防ぎます。
- 後日、写真を見ながら家族で再確認する前提にすると気が楽。
思い出の品は“記録してから手放す”
- 着物や帯は写真を撮って、必要な方(今回は日舞をしている叔母)へ。
- 母の趣味の作品は、写真に残す
- “残す・託す・記録する”の三択があると、後悔が減りました。
→展覧会で賞ももらった母の作品などは、写真に残し、安価でアルバムのような冊子にしてくれるところに依頼しました。
インフラや定期購入の停止はリスト化しておく
牛乳・弁当・新聞・生協・NHK・電気ガス水道など、いざという時に停止連絡しなくてはならないものは、あらかじめリスト化しておくと便利です。
解約方法や連絡先、急ぐもの急がないものもチェックしておくとなおスムーズです。
プロに任せる勇気
大型家電や家具の解体、処分は迷わずプロへ。
体力を温存し、判断が必要な作業に集中するほうが、総合的に見て効率的でした。
結果、感情に振り回されて作業がストップすることが少なくなります。
まとめ
実家の片づけは、「親の気持ち」「家の状況」「子どもの事情(遠距離・仕事・家庭)」が絡み合う、正解のないテーマです。
理想は少しずつ、現実は“きっかけが来たときに一気に”。
どちらの進め方も間違いではありません。
大切なのは、自分たちのペースで、優先順位(安全・生活再建)を共有しながら進めること。
必要なところは業者の力を借り、迷うものは保留にし、家族で役割分担をして、できることから淡々と。
「思い出は消えない。形は変えられる。」
そう自分に言い聞かせながら動いた3日間でした。
この記事が、いま実家の片づけに向き合っているどなたかの背中を、少しでもやさしく押せますように。
次の記事では、私たちが実際に使った段取りとチェックリストを、遠距離目線で詳しくまとめていきます。




