高齢の親の今後を考える中で、一度は耳にする「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。
でも、グループホームや特別養護老人ホームなど、他の施設との違いがよくわからない……という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、遠距離住みの姉妹が集中的に施設を探した経験から、サービス付き高齢者住宅の特徴や他の介護施設との違いについて、わかりやすく解説しています。
- 親の介護や暮らしについて考えるようになり、施設の選択肢を調べ始めた方へ
- 「サービス付き高齢者住宅(サ高住)」という名前はよく聞くけれど、具体的にどんなところ?
- 老人ホームやグループホームとの違いがわかりにくい…
サービス付き高齢者住宅とは?
サービス付き高齢者住宅は、バリアフリー対応の賃貸住宅に、安否確認や生活相談などのサービスがついた住まいです。
自治体に登録された制度で、高齢者が安心して暮らせるよう設計されています。
特徴
- 賃貸契約が基本なので、住まいとしての自由度が高い
- 介護が必要な方でも入居可能(施設によって受け入れ基準は異なる)
- 自立~要介護まで幅広い人が対象
- 食事サービスや見守り、フロント対応など、施設ごとにサービス内容が異なる
定義と制度的な背景
- 2011年にスタートした比較的新しい制度
- 高齢者の安心な暮らしを支える「バリアフリー賃貸住宅」+「見守り・生活相談サービス」付き
どんな人が対象?入居条件は?
- 原則60歳以上(要介護認定がなくてもOK)
60歳未満でも、要介護または要支援認定を受けていれば入居可能 - 自立〜要支援・軽度の要介護者が多い
同居の条件は?
- 配偶者
- 60歳以上の親族
- 要介護認定を受けている60歳未満の親族
- 特別な理由で同居が必要と知事が認めた場合
サービス内容の基本
- 日中の安否確認:スタッフが定期的に居室を訪問し、入居者の状況を確認
- 生活相談:日常生活での困りごとや不安を相談できる
施設によって提供されるサービス(オプション)
- 食事提供:栄養バランスの取れた食事の提供
- 生活支援:掃除、洗濯、買い物代行など、日常生活のサポート
- 介護サービス:入浴、排泄、食事などの介助が必要な場合、外部の訪問介護サービスと契約して利用可能
- リハビリテーション:身体機能の維持・回復を目的としたリハビリテーションを受けられる
- 医療行為:訪問看護や訪問リハビリなど、医療行為が必要な場合は、外部の事業所と契約して利用可
- レクリエーション:施設によって異なる
- 看取り:介護型で看護師が24時間常駐している施設などでは、看取りに対応している場合もあり
サービス付き高齢者住宅のメリット・デメリット
メリット
- 入居のハードルが低い(介護認定なし~軽度な要介護認定でもOKな場合が多い)
- プライバシーのある個室(賃貸契約)
- 自由度が高く、自立した生活が可能(スケジュールなし、自分のペースで生活)
- 必要に応じて介護サービスを選べる
- バリアフリー設計で高齢者が安心して生活できる
- 選択肢が豊富(施設す増加中)
- 初期費用が比較的安い(有料老人ホームと比べて)
デメリット
- 一般的な賃貸よりも費用が高い
- 手厚い介護や医療が必要になった場合には対応が難しいことも
- 食事や介護は外部サービスになるため、別途費用がかかる
- 事業所によってサービス内容が異なる
- 見守り体制が手薄な場合がある
- 入居者同士の同士の交流が少ない場合がある
サ高住と他の高齢者施設との違いは?
ここでは、サ高住とよく比較される主な高齢者施設との違いを簡潔にまとめます。
| 施設種別 | 対象者 | 介護サービス | 住まいの形式 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| サ高住 | 自立~要介護 | 外部サービスと連携 | 賃貸住宅 | 比較的自由度が高く、生活の自立度が保たれる |
| グループホーム | 要支援2〜要介護 | 常駐スタッフあり | 共同生活(少人数) | 認知症の方が対象。家庭的な雰囲気 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要介護 | 施設内で介護提供 | 居室+共有スペース | 介護・看護体制が充実 |
| 特別養護老人ホーム | 原則要介護3以上 | 介護職員常駐 | 公的施設 | 入居費用が安めだが、待機が長いことも |
| ケアハウス | 自立~要介護1程度 | 外部介護サービス利用 | 個室+共用 | 自立度高めの人向け。食事や見守りは提供あり |
他の高齢者施設との違いを比較してみよう
有料老人ホームとの違い
- 介護・食事サービスが標準装備かどうか
- 契約形態(賃貸 vs 利用権)
グループホームとの違い
- 認知症対応の有無
- 少人数・共同生活かどうか
ケアハウスや特別養護老人ホーム(特養)との違い
- 公的施設との違い
- 要介護度や入居待機状況の違い
サ高住はこんな人に向いています
- 自立や軽度の介護が必要な状態で、見守りや食事のサポートがある暮らしが安心な方
- 病院や介護施設のような場所ではなく、「住まい」としての雰囲気を大切にしたい方
- 高齢の夫婦で入居し、それぞれのペースで生活したい方
実際に見学したときも、施設によって設備の充実度、雰囲気、スタッフの対応が大きく異なっていました。
「サ高住」とひとくくりにせず、個別の施設ごとの特色を比較することが大切です。
サービス付き高齢者住宅はこんな人に向いている
- 自立しているが、見守りや支援が少し必要な人
- 一人暮らしに不安があるが、自由度を保ちたい高齢者
- 家族が遠方にいて日常的な安否確認を任せたい場合
施設を選ぶときにチェックしたいポイント
- スタッフの対応や雰囲気(見学は必須)
- オプションサービスの内容と費用
- 介護が必要になった時にどう連携するか(訪問介護・外部事業所の可否)
- 医療連携体制の有無
「サ高住」は“元気なうち”から考える選択肢
- サービス付き高齢者住宅は、介護施設というより「見守りつきの住まい」
- 元気なうちに移っておけば、その後も安心して暮らせる
- ほかの施設との違いを知ったうえで、親にとっての“暮らしやすさ”を重視した選択を
我が家の場合、サ高住への入所の検討をすすめ始めた時期は、母の認知症が進行し始め、父が老老介護をし始めてから1~2年経った頃でした。
それでも両親の入居の決断までには3~4年かかりました。
結局、入所直前の父の怪我~入院で、サ高住への入所は実現しませんでしたが、もう少し早く決めていたら、父も怪我することも無かったのかな、、と思ったりします。
私たち姉妹が遠方住みだったこともありますが、早め早めの行動が大事!と痛感しました。
サービス付き高齢者住宅は“暮らしやすさ”がポイント
サービス付き高齢者住宅は、介護が必要な高齢者にとって「自宅に近い形で暮らし続けられる」選択肢のひとつです。
ただし、施設ごとに提供されるサービスや雰囲気にはかなりの違いがあるため、実際に見学して比較することが何より大切です。
親の状態や希望をふまえて、「無理なく」「安心して」暮らせる場所を探していってくださいね。




