親のための「施設選び」、どこから考えればいい?
私たち姉妹もそうでした。。
「そろそろ施設も考えたほうがいいのかな…」
そう感じ始めたとき、多くの人が最初につまずくのが「種類の多さ」です。
サ高住、有料老人ホーム、特養、老健…聞き慣れない名前が、、、
どれがうちの親に合うのか、正直判断に迷いました。
この記事では、主な高齢者向け施設の違いと、選び方のポイントをまとめました。
実際に施設探しを始めた時の経験もふまえて、はじめの一歩を後押しできたらと思います。
高齢者施設の主なタイプと特徴
まずは、代表的な施設の特徴と違い、選び方のポイントを一覧にしてみました。
施設名 | 主な対象 | 特徴 | 費用 | 入居の しやすさ |
---|---|---|---|---|
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 比較的元気な高齢者 | バリアフリー+生活支援サービス。自由度が高く自宅に近い暮らしができる。 一般型と介護型がある。 | 初期費用:数万円~数百万円 月額費用:10~30万円 | ◎ 比較的入りやすい |
介護付き有料 老人ホーム | 要介護の高齢者 | 介護・生活支援が手厚い。24時間スタッフ常駐 | 入居一時金:数万円~数千万円 月額費用:15~30万円程度 | ○ 空きがあれば入居可能 |
住宅型有料 老人ホーム | 自立~軽度の介護 | 介護サービスは外部の事業所と契約して利用 | ||
特別養護 老人ホーム(特養) | 原則 要介護3以上 | 公的施設。費用が比較的安いが入居待ちが多い | 一時入居金:不要 月額費用:6~15万円程度(居室タイプで異なる) | △ 待機者多数 |
介護老人 保健施設(老健) | リハビリを目的とした短期滞在 | 退院後~自宅復帰を目指す中間施設入所期間は原則3か月(平均は10か月) | 月額費用:9~20万円程度 | 〇比較的入りやすい |
グループホーム | 認知症高齢者向け | 共同生活を受けながら専門的なケアを受けられる | 入居一時金:0~数十、数百万円月額費用:15~30万円程度 | △定員が少なめ |
ケアハウス(軽費老人ホーム) | 一般型:60歳以上(個人又は夫婦のどちらかが) | 生活支援中心、低所得で一人暮らしをしている高齢者対象 | 入居一時金:0~30万円 月額費用:7~13万円程度 | △条件の良いところは待機者多数 |
介護型:65歳以上、要介護1~2 | 一般型プラス介護支援、介護度が高くなると転居要の場合も | 入居一時金:数十~数百万円 月額費用:16~20万円程度 | △入居待ち時間が長くなる傾向 | |
介護医療院 | 要介護の高齢者 | 公的施設。要介護高齢者の長期療養・生活のための施設。Ⅰ型、Ⅱ型がある | 一時入居金:不要 月額費用:9~17万円程度 | △重度の介護度や緊急性の高い人が優先 |
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公的施設/特別養護老人ホーム=特養、介護老人保健施設=老健など
- 【特徴】:費用が比較的安い/介護度が高い人が対象/待機者が多い
- 【メリット】:費用面で安心/介護スタッフが常駐
- 【注意点】:申し込み制・順番待ち/元気なうちは入れない
- 【入居対象】:要介護3以上など(施設により異なる)
民間施設/有料老人ホーム:介護付き・住宅型・健康型
- 【介護付き】:24時間介護/中~重度向け/費用高め
- 【住宅型】:軽度~中度向け/外部サービス併用/柔軟性あり
- 【健康型】:自立した人向け/介護が必要になると退去
- 【比較ポイント】:介護体制、料金、医療連携など
自立支援・見守り中心の住まい/サービス付き高齢者向け住宅=サ高住
- 【特徴】:見守り・安否確認が中心/基本は自立~軽度向け
- 【メリット】:自由度が高い/比較的費用が抑えめ
- 【注意点】:介護サービスは外部事業者との契約(必要に応じて)
- 「サ高住=介護してくれる場所」ではない
施設選びでよくある勘違い・注意点
施設の違いは単に「介護の有無」だけではありません。
費用、医療対応、居室のタイプ、自由度、介護度、、、あらゆる面から検討が必要です。
- 費用の幅:月額15万円~30万円以上まで差がある
- 医療対応の範囲:持病があると入れない施設も
- 居室のタイプ:個室/多床室/夫婦部屋の有無
- 自由度:外出や外泊ができるかどうか
- 要介護でも入れない施設がある
- 入居金の金額だけで判断しない(ランニングコストに注目)
親本人の希望と家族のサポート体制によって、選ぶべき施設は大きく変わります。
わたしたち姉妹が実感した「選び方のポイント」
実際に施設探しをしてみて、こんなポイントが判断材料になりました。
ポイント1:施設の状況から探す
立地・アクセス
- 見守りやすさに直結
- 親族が行きやすい場所か
- 私か妹の家から近い施設
- 私と妹の家の中間
- 実家から近く、最寄りの新幹線駅の近く
最終的には③の「実家から近く、最寄りの新幹線駅の近く」に決定。
- 当初は、母と父が実家近くの別々の病院にいたこと
- 実家から遠い所へ弱っている親に移動してもらうことが困難と判断
- 親族がほとんど実家に近いところにいたこと
- お墓が実家近くにあったこと
対応力
- 見学時の職員の説明や雰囲気は?
- 医療との連携は?
緊急対応や医療体制の有無(夜間・看取りなど)
- 最も気に入った施設は当時空きが無かったが、施設長さんが柔軟に対応してくれて、空きが出たらすぐに入れるよう病院とも連携して手配してくれた。
- 医療連携は常駐ではないが、定期健診から緊急対応(急な異変で入院等)もしっかりされていた。
ポイント2:親の現在~将来を見据えて探す
親の、「いま現在」だけでなく、「少し先の暮らし」までイメージできるかが大切でした。
施設の中には、介護度が上がったら住み続けられないところもあります。
その都度転居するのは、親も子も相当な労力が必要です。
現在
- 現在の介護度・健康状態に合っているか?
- 具体的な生活をイメージ(食事、買い物、家事、趣味など)
- 父が怪我で入院する前は、介護度2~3の認知症の母と、サービス付き高齢者住宅への入居を検討
- 父の入院後、母は一時的に病院→有料老人ホームへ。
父も退院後、同じところへ入居 - 父の体調が急変→病院へ入院→回復後施設へ戻る
今後
- 介護度や健康状態が変化した場合の利用
- 他施設へ転居する必要がある場合の選択肢を確認
- 父の体調が急変→病院へ入院→病院で亡くなる
- 母の体調が急変→病院へ入院→回復後施設へ戻る(その間約1か月分の施設費用は支払)
費用面
- 親の年金や貯蓄で賄えるか
- 子が遠方の場合、距離感や面会の頻度
- 施設費用や生活費は、両親の年金と貯蓄で賄えている状態
- 父の死後は、母の年金と遺族年金、貯蓄でギリギリ賄えている
- 父の怪我入院~施設探し、実家片づけの頃は1週間などまとまった期間年に数回帰省
- 現在は、妹は年に2~3回、私は年に1~2回の頻度で帰省
【ざっくり見極めチャート】
要介護度は?
- 自立〜軽度 → サ高住/住宅型有料
- 中〜重度 → 介護付き有料/特養
- 退院後リハビリ前提 → 老健(期限あり)
認知症が進行しても住み続けられる?
- はい → 介護付き有料、特養
- 条件次第 → サ高住、住宅型有料(外部サービスの活用前提)
費用の優先度は?
- できるだけ抑えたい → 特養(+長期待機の可能性)
- ある程度負担しても手厚い介護を → 介護付き有料
家族(きょうだい含む)が通いやすい距離?
- 遠距離なら:通院・急変時の対応を施設がどこまで担ってくれるかも要チェック
迷ったら、まずはサ高住+外部サービスという選択肢も
すぐに重度の介護が必要な状態でなければ、サ高住+訪問介護などの在宅サービスという組み合わせも現実的です。
最初からすべてを完璧に整えるのは難しいもの。
大切なのは、親の今の状態に合わせて「柔軟に移行できる選択肢」を持つことでした。
我が家の場合も、父が怪我で入院することになる前は、このパターンを考えていました。
父が入院してからは考えを方向転換し、「認知症の母が安心して過ごせる場所プラス入院後の父も入れるところ」を探し、最終的に現在お世話になっている「介護付き有料老人ホーム」に入居することになりました。
施設選びは「情報整理」と「優先順位」がカギ
高齢者施設は、それぞれにメリット・デメリットがあります。
大切なのは、「何を重視するか」を家族で話し合い、納得感のある選択をすること。
- どんな生活を送ってほしいか?
- 自立か介護か、今後どう変わるか?
- 家族のサポートはどこまでできるか?
迷って当然。
だからこそ、まずは情報を整理し、小さな一歩を踏み出すことが大切です。
そして、できれば元気なうちに、家族で一度、話をしておくのがおすすめです。
- 種類と特徴をざっくり理解することが第一歩
- 自分たちにとって大事にしたい条件を整理する
- 資料請求や見学、専門窓口の活用もおすすめ!
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