「親のために良いと思って勧めたことなのに、強く拒否されてしまった」。。
私自身も経験しましたが、親に介護サービスをすすめるとき、多くの人がこの壁にぶつかるようです。
親の本音は「まだそんな年じゃない」「人の世話になりたくない」「迷惑をかけたくない」といった思いから来ているらしい。。
頭ごなしに説得しても逆に反発されてしまう。。(しかもめちゃ頑固になってるし、、)
今回は、私の体験や、ケアマネさん、看護師さんら専門職の方から聞いたことをもとに、「よくある場面」と「声かけの工夫」をまとめてみました。
1. 介護認定を受けてほしいとき
*我が家の場合
両親が初めて介護認定を受けた時、特に軽度の認知症の母の方がめちゃ張りきって、笑えるくらいにまだまだ全然しっかりしてますアピールしてました。。
2回目の時、母は“自分はまだ元気”と言い張っていたので、『今の元気さを記録してもらえるから安心だよ』と伝えました。
診断されるというより“現状確認”という言い方に変えるだけで、受け入れてくれました。
親の拒否の声
- 「私はまだ元気だから必要ない」
- 「そんなふうに言われると年寄り扱いされてるみたいで嫌だ」
声かけの工夫
- 「元気なうちに申請しておくと安心だよ。いざというときに手続きがスムーズだから」
- 「今すぐ使うわけじゃないんだよ。権利を持っておくだけで安心できるから」
まだまだあります 声かけ事例
- 最近ちょっと疲れやすそうに見えるから、健康診断みたいに“元気チェック”してもらえたら安心だと思うんだ
- 介護保険のサービスって、元気なうちから準備できるんだって。
手続きだけでもやっておいたら安心だよ - 今はお母さんの頑張りに助けられてるけど、これからも安心して暮らせるように、相談だけでもしてみようか
- 私も一緒に行くから、気楽に相談してみない?
2. デイサービスをすすめたいとき
*我が家の場合
どこで得た情報からそう思ったのか母は、「あんな幼稚園みたいなところで折り紙やら体操やらしたくないわ。私は絶対に行かない!」とずっと言い張っていました。
父の方は「まぁ一回くらいは言ってみてもいいか」なんてのんびり話していました。
その時、デイサービスに対する印象は、人によってかなり違うんだなぁ~と感じました。
結局、そのようなサービスを利用する前に、父が怪我をして入院~転院~施設入所、母はショートステイ~施設入所となったため、一度も利用することはなかったのですが、、
怪我せず、サ高住入所となっていたら、利用をすすめていたと思いますし、都度母は行きたくないと嫌がったのかなと思ったりします。
今回あげたような声かけをしても行かないようなら無理強いはしなかったとは思います。
それか、父の方はあまり抵抗が無さそうだったので、まずは父に行ってもらってサービスの様子を母に伝えて、母も納得すれば行くようになったかも?など想像します。
親の拒否の声
- 「知らない人と一緒に過ごすのは嫌だ」
- 「子ども扱いされそうで恥ずかしい」
声かけの工夫
- 「同じ世代の人とおしゃべりしたり、趣味を楽しめる場所なんだって」
- 「一度だけ試してみようよ。合わなければやめても大丈夫だから」
- 「送迎もしてくれるから、私も安心なんだ」
まだまだあります 声かけ事例
- 「同じ年代の人と話したり遊んだりできるところがあるんだって。気分転換に行ってみたら?」
- 「お風呂に入れてもらえるサービスがあるらしいよ。ゆっくり入れて気持ちよさそうだなって思った」
- 「体操とかゲームとか、ちょっと楽しそうなことやってるみたい。見学だけでも一緒に行ってみない?」
- 「週に1回、気分を変えに行く感じでどうかな。行きたくない日はお休みしてもいいんだよ」
3. ショートステイ・施設入所を検討するとき
*我が家の場合
ショートステイは、父が怪我で入院し、認知症の母を一人で家においておけない!となった時に一時的にお願いする必要がありました。
ただ、急なことで母もパニックになって騒いだのか、預けて数時間後に「腕に怪我をしたので至急迎えに来てください」施設から連絡があり、半ば追い出されるようなことがありました。
やはり、ショートステイとはいえ、きちんと本人の納得の上利用することが大事と痛感しました。
サ高住入所を決めるまでは、少しずつ話をしていきましたが、見学に行こうとなるまで2~3年はかかりました。
私たちが遠距離住みで、年に数回しか帰省できず話をする機会が少なかったこともありますが、、
父よりも母の方が抵抗が強かったです。
最終的には、父が瘦せてきて体力が落ちてきていたので、「お父さんが心配だから」と母を説得しました。
母も、自分ではなく父のことなので反対できなかったみたいです。
親の拒否の声
- 「家を出たくない」
- 「家族に見捨てられるみたい嫌だ」
声かけの工夫
- 「体調が不安なときに、専門の人がそばにいてくれると安心だよ」
- 「旅行のホテルみたいなものだと思って、少し気分転換に」
- 「私たちも安心できるから、心配せずに休んでほしいな」
まだまだあります 声かけ事例
- 「旅行のかわりに、ちょっとお泊まり気分で行けるところがあるんだって」
- 「お父さん(介護する人)の体調も心配だから、少し休んでもらう間だけお願いできたら助かるんだ」
- 「一度体験してみて、合わなかったらやめてもいいし、気に入ったらまた行けばいいんだよ」
- 「食事もお風呂もついてるから、のんびりできそうだなあ」
- 「他の人とお話したり遊んだりできるから、気分も変わると思うよ」
4. 病院や往診を勧めたいとき
*我が家の場合
両親とも病院はあまり好きではなかったので、病院へ連れて行くのは結構大変でした。
要介護認定の申請に必要な主治医意見書を書いてもらうため、主治医の診察が必要だったのですが、はじめは抵抗していきたがりませんでした。
「健康診断全然してないでしょ。一度受けておくと安心だから」となんとか説得して、病院の予約をし、妹と帰省日を合わせ、両親を二人がかりで連れて行きました。
待ち時間も長く、ほぼ一日かかりましたが、検査がしっかりできたので、その後の介護認定までもスムーズに進みました。
親の拒否の声
- 「病院は嫌いだ」「病院に行きたくない、面倒くさい」
- 「大げさにしなくても大丈夫よ」
声かけの工夫
- 「検査して“問題ない”って言われたら安心できるよ」
- 「お医者さんに会うのは、調子がいいことを確認してもらうためだよ」
- 「先生が家まで来てくれるから、病院に行かなくてもいいんだよ」
- 「ベッドのままでも大丈夫だって言ってたよ」
まだまだあります 声かけ事例
- 「私も一緒に行くから、ついでに健康チェックしてもらおう」
- 「最近ちょっと疲れやすそうだから、念のため先生に見てもらえると安心だね」
- 「ちょっと診てもらうだけだから、検査とか治療って決まってるわけじゃないよ」
- 「薬を変えるかどうか相談するだけだから、すぐ帰ってこれるよ」
- 「○○病院と△△病院、どっちがいい?」
- 「午前と午後どっちが行きやすい?」
- 「前に診てもらったとき、すぐ楽になったよね」
- 「私が心配で眠れなくなるから、一度見てもらえると助かる」
5. その他よくある場面
薬を飲んでほしい時
- →「これ飲んだら体が楽になるから、一緒に飲もうよ」
- →「お医者さんが“これ大事ですよ”って言ってたから、安心のために飲んでおこう」
買い物・家事のサポートを嫌がるとき
『自分でまだできるから』
- →「全部任せるんじゃなくて、重いものだけ一緒に運ぶね」
- →私が行くついでだから、一緒にどう?」
(「頼んでる」より「ついで感」を出すと受け入れやすい) - →「一緒にやったら早く終わって、あとはのんびりできるよ」
(メリットを示すことで参加意欲が出やすい)
ヘルパーさんを嫌がるとき
『知らない人に家に来られるのは嫌』
- →「お手伝いしてくれる人を“家に呼ぶ”っていうより、一緒に暮らしやすくする“仲間”みたいな感じなんだって」
- →「無理にお願いするんじゃなくて、お母さんのサポートを少しだけお願いするだけだよ。だから一緒にやる感じでいいよ」
- →「ヘルパーさんに来てもらうと、お母さんがゆっくりできる時間ができるよ」
- →「お母さんが得意なところはそのままお願いするよ。苦手なところだけ手伝ってもらおう」
- →「もし嫌なことがあったら、私にすぐ教えて。改善できるように一緒に考えよう」
- →「今日はちょっとだけお願いして、合わなければ次から変えてもらえるから安心してね」
- →来てくれる人にお母さんのことをいろいろ教えてあげてね。お母さんの経験が役立つよ」
- →「お母さんのやり方を大事にしてくれる人だから安心してみていてね」
運転免許返納を進めたいとき
- →「もう十分運転してきたから、これからは“乗せてもらう生活”でもいいんじゃない?」
- →「近くまでバスや送迎サービスがあるから、運転しなくても大丈夫だよ」
- →「たまにしか乗らない車の維持費より、たまに使うタクシーの方が割安かもよ」
まとめ
親が介護サービスを拒否する背景には、「まだ元気でいたい」「迷惑をかけたくない」という気持ちがあるようです。
そんなときは、こちらの都合を押しつけるのではなく、「安心できるから」「試しに一度だけ」「家族も安心だから」といった前向きな言葉で伝えることが大切かなとおもいます。
完璧な正解はありませんが、ちょっとした声かけの工夫で、親の気持ちが少し軽くなり、一歩を踏み出してくれることもあります。
あせらず、親の気持ちも尊重しながら「声かけ」してみてくださいね。ファイト!




